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矢板 毅
Proceedings of International Youth Nuclear Congress 2000 (CD-ROM), 4 Pages, 2000/00
単座・二座配位有機リン系及びアミド系化合物-ランタノイド、アクチノイド錯体の溶液内構造を放射光EXAFSにより、また、いくつかの単結晶試料についてX線構造解析を行った。これにより両系において単座配位系化合物は、配位酸素のネットチャージが二座配位系に比べ大きな差がないのにもかかわらず約0.2Åほど外側で配位することがわかった。これは溶液内においてのみ観察された。これは多座配位系が金属と環形成するときのキレート効果による。CMPOは溶液中においてカルボニル基の酸素が弱く相互作用し、形成する環は非対称になること、また環形成では5員環が6員環より安定であり錯形成において2つの5員環を有する三座配位子ジグリコールアミドが、三価ランタノイド、アクチノイドの分離には最も有効であることなどを明らかにした。
館盛 勝一; 矢板 毅; 鈴木 伸一
Proc. of Workshop on Long-Lived Radionuclide Chemistry in Nuclear Waste Treatment, p.179 - 188, 1997/00
アクチノイド元素の分離に適する抽出剤を開発するには、アクチノイドの化学的特性の把握と、各種配位子の特性及びそれらが抽出分配特性とどういった相関を持つのかを解明、評価する必要がある。このような方法論を分子設計と呼んで、当研究室では新抽出剤の開発を行っている。OECD/NEAの上記ワークショップでは、当研究室でこれまでに得られた成果の中から、U(VI),Pu(IV)の抽出に有効な環状アミド化合物の分子設計の研究、及びAm(III),Cm(III)の抽出に有効な有機リン系二座配位抽出剤の抽出挙動の特徴解析について報告する。これらの発表を通して、新しい抽出剤の開発を理論的に進めることの重要さを指摘したい。
矢板 毅; 館盛 勝一
Radiochimica Acta, 73(1), p.27 - 33, 1996/00
Tetra(p)tolylmethylene diphosphine dioxide (TTMDPDO)による硝酸溶液からのランタノイドの抽出分配比を測定した。抽出剤濃度依存性の観点から、おもに軽ランタノイドで主にTTMDPDOが4配位で、重ランタノイドで3配位の錯体を形成していることが推定された。各硝酸濃度での、ランタノイド間の抽出挙動を比較するために抽出分配比のランタノイドパターンについて検討したところ、原子番号の順にテトラド効果を示しながら分配比が減少することが分かった。また、テトラド効果は、軽ランタノイドで強く、重ランタノイドで弱く現れており、3配位錯体において金属-配位子結合が、4配位錯体に比べ共有結合性が強いということが推定れた。このことは、これら錯体の配位サイトであるフォスフォリル基の赤外吸収スペクトルの測定結果とも矛盾しないことが明らかとなった。
矢板 毅; 館盛 勝一
Value Adding Through Solvent Extraction (Proc. of ISEC 96), 1, p.635 - 640, 1996/00
ジフォスフィンジオキシド-ランタノイド錯体に対するNMR分光学的研究が行われた。ランタノイド誘起シフトの測定からリン原子エスピン密度の計算が行われた。これより軽ランタノイドより重ランタノイドとの錯体において、電子の非極在化が起こっていることが明らかとなった。また、磁気緩和の測定から結合距離、角度等の測定も行われた。なお緩和の測定は、Inversion recovery法によった。これより、結合距離は、軽ランタノイドで3.3前後、重ランタノイドで3.1前後という値が得られた。また結合角度は、およそ54.7°付近であるということもわかった。これらの結果は、重ランタノイドにおいて、軌道の重なりに伴なった共有結合性の強い錯体を形成していることを示唆している。